中村元先生の岩波文庫版シリーズを読んでいる。たしか最初に手にしたのは『真理のことば・感興のことば（ダンマパダ・ウダーナヴァルガ）』で、かれこれ10年前、東日本大震災の年だったと記憶している。この『ブッダ悪魔との対話（サンユッタ・ニカーヤ）』でこのシリーズを全て読破したことになると思う。
読み始めた頃から面白いと感じていたが、10年前は今以上に仏教の基本的な知識が無かった。些少ではあるが知識を得た今、基本的知識を持って読んだ方が初期仏典の面白さが深く理解出来るような気がしている。そして中村元先生の偉大さを更に強く意識することとなった。
本書にはタイトル通りブッダが悪魔と「対話」している経が多く出てくる。そして所々に初期仏教教団の様子が垣間みられるような詩句が残されている。個人的には悪魔との対話よりも、初期教団の様子がうかがわれる箇所の方に興味を惹かれた。
もう一度、全シリーズを読み直してみたいと思う。容易に初期経典を現代人に読めるようにしてくださった中村元先生に感謝します。
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